国際観光学部長より「国際観光学部の教育活動・就職状況について」

平安女学院大学 国際観光学部
学部⾧ 毛利 憲一

本学 国際観光学部の教育活動と就職状況についてお知らせさせていただきます。

ご存知の通り、本年は新型コロナウイルスの流行で、国際観光学部と関連の深い観光業界、交通・運輸業界は大きな痛手を被っております。
また海外への留学や研修、国内での地域連携活動など、国際観光学部がこれまで教育の柱としていた各種の活動が充分に行えなくなっております。

そのような中で、本学国際観光学部をはじめとする観光系の学部あるいは留学プログラムのある学校へ進学をすることに、不安や躊躇を感じておられるのではないかと推察します。

そこで、今後の参考にしていただきたく、本学国際観光学部の就職状況、留学プログラムなど海外での教育活動の見通し等について簡単ではございますが、次の通りまとめさせていただきました。

1. 国際観光学部の教育活動

1) 外国語特修コース・留学プログラムの状況

国際観光学部では、外国語特修コース所属の学生が、2年生後半から3年生前半の1年間、海外の大学へ語学研修を目的とした留学を行うプログラムがあります。

2020年度は2年生 114名のうち20名弱が留学を希望しており、昨年秋から希望者に特別な授業を行い、留学先の選定などをすすめてきました。しかし新型コロナの流行が始まって以降、海外への渡航が制限され、例年9月頃からの留学先へ出発できなくなりました。

留学を目的に本学へ進学した学生が多い中、本学と致しましても何とか留学をさせてあげたいと努力をしています。
本学は小規模大学であるため、学院として一律に留学を制限・中止する措置は取っておりません。学生の希望する国・地域(英語圏は、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、イギリス、アイルランド。中国語圏は、台湾)に応じて、留学生の受け入れ状況、外務省から渡航制限状況などについての情報を収集し、また個別の学生の希望も常に聞きながら留学準備を進め、出発できる状況になればすぐ留学に行けるように万全の準備を行っています。

予定の留学期間は11ヶ月ですが、出発可能となる時期をふまえ、適切な留学期間を柔軟に検討し、また奨学金についても留学期間に応じた金額にするなどの対応をしています。
現在、大学は秋学期が始まっております。留学希望者も秋学期の授業を受講し、万が一、出発できなくても単位の修得に問題が出ないようにすると共に、英語力を上げるための特別クラスを設置し、海外の語学教師とのマンツーマンでのオンライン授業も導入して、教育を行っております。
なお受講料は、大学から補助をしております。

また、新型コロナが流行し始めた本年2・3月には上級生(現3年生)が30名ほど留学先に滞在をしていましたが、学生および保護者と担当教員・職員が個別に連絡を取り合い、各国・地域の安全性をふまえた上で、帰国するか留学を継続するか、学生それぞれの希望をふまえた対応をしております。3月に帰国した学生が半分、現地での滞在継続を選んだ学生が半分です。
帰国を希望した学生には、帰国の航空券を手配し、また4月から通常の授業に戻れるように対処致しました。
現地ではオンライン授業になった大学がほとんどでしたが、ホームステイ先で家族や友人との生活を続けることで、英語にふれる環境が維持されました。

2) 次年度への見通し

海外留学については、今年度希望者の留学が実現できるように努力を傾注しています。現在一部の国・地域については、渡航制限の解除・留学の再開などができそうであるとの報道が出始めました。
本学の留学先 オーストラリア・ニュージーランド・台湾は、期間が短くなりますが留学できるのではないかとの見通しを持っております。政府も経済活動の再開を進めていますので、留学についても同様の流れで可能になると期待をしているところです。
特に英語圏の大学は、留学生の受け入れを強く求めていますので、各国の感染状況次第が落ち着けば、すぐにでも留学は再開されると思われます。

現在の1年生については、通常通り留学準備を秋学期から進めております(出発は2021年9月頃の予定)。
本学としては、学生の安全を充分に担保した上で、「留学できる」ことを最優先にして柔軟に対応をしております。現在の高校3年生が、本学に入学をされた場合、留学は2022年度の出発となります。いずれも新型コロナの流行状況、ワクチンなど対策状況、そして各国の入国制限の緩和状況によりますが、留学できる可能性が高いと考えております。

3) 研修旅行、地域連携活動など

国際観光学部では、観光地や観光施設での実地研修、地方公共団体・地元企業との地域連携活動を「観光の学び」の中心に据え、実践的な教育を特徴としております。本年は、例年行っている修学旅行生へのガイド実習などが中止となったほか、京都市交通局や京都市中央卸売市場との連携活動も十分に行えませんでした。夏季休暇中の研修・調査旅行も、海外・国内ともに中止となりました。

しかし、できる限り実践的な学びを実現すべく、連携している諸団体の協力のもと、9月19日から21日は京都市動物園での「秋の夜間開園」の企画・運営を実施しました。こちらには、一日あたり3000名を超える来場者があり、学生も延べ120人が参加して運営にあたりました。
また秋学期は対面型授業が再開したため、京都市内を中心に観光地の調査活動や巡検などの学外活動を再開する予定です。

次年度以降、海外での活動は留学と同様、不透明なところがありますが、例年通りの研修や地域連携活動を再開できる見込みです。

2. 国際観光学部の就職状況

国際観光学部では、例年多くの学生が観光業界と運輸・交通業界に就職しています。就職率も高く、内容についても、大手旅行社の総合職、国内航空会社の客室乗務員を毎年輩出するなど、企業様からも大変高い評価をいただいています。

しかし本年は、新型コロナウイルスの流行で、本学の学びと直結した上記の業界の業績が急激に悪化し、国内航空大手のANA、JALのいずれもが新卒採用を取りやめるなど、大きな影響が出ております。
本学においても、旅行業界・航空業界を目指す学生は、採用自体がなくなったため、残念ながら別の業界などにターゲットを変更するなどの対応を余儀なくされました。

このような状況ではありますが、上記業界以外は例年と同様に就職内定を頂戴しており、特に地元有力企業や金融業界をはじめ、業績の堅調な企業に多数の就職を決めております。

もともと学部の学びの性格上、観光・運輸業界への就職が多いのですが、6割以上はそれ以外の業界に就職しています。本学では、コミュニケーションや主体性、問題解決能力を身につける地域連携活動などの実践的な授業、茶道をはじめとする「おもてなし」を学ぶホスピタリティ教育が充実しています。こうした学びは、観光・運輸業界だけでなく多くの企業でも汎用性を有するスキルを養っており、本学の就職実績に直結しています。

就職状況については、次年度は経済状況の悪化でさらに厳しい状況が予想されています。国際観光学部では、本学キャリアサポートチームとともに就職希望者全員の就職を実現させるため、学生一人ひとりと面談を重ねてその適性をつかみ、確実に進路が見つかるよう、小規模大学の環境を活かした指導をしています。

特に次年度、旅行会社や航空会社を希望する学生には、志望業界での内定を得られるよう指導・支援をするとともに、景気回復後のセカンドキャリアなども見越した就職活動を行うようアドバイスしています。
幸い国内旅行市場は、本年秋以降少しずつ回復しており、旅行会社及びホテル等宿泊産業では、次年度から徐々に採用が再開されていくものと思われます。

現在、コロナ禍で収縮していますが、観光業界は近年成長著しく、人手不足が恒常化している業界です。政府も観光振興政策をさらに強化する見通しで、観光・運輸業界及び関連業界での採用見合わせは一時的なものと考えています。現在の高校生が就職活動をする時期には、十分な採用があると見込まれます。

そのため、本学をはじめとする観光系の学部に進学すると就職が難しいといったことに全く心配はございません。

以上、⾧くなりましたが、ここまでお読みいただいたことを感謝申し上げます。

平安女学院大学 国際観光学部では、魅力ある学部となるためにさまざまな新しい取り組んでまいります。今後も「観光の学び」を通して、地域社会に必要とされる教育活動を展開してまいりますので、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。

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